ABOUT PLATINUM PRINT

  • INTRODUCTION
  • HISTORY
  • PROCESS
  • CONCLUTION

Introduction

プラチナプリントという特殊な世界を知っていただくために、まず「写真の基礎知識」をご紹介しておきます。写真の世界をまったくご存じない方のために、かなりかみくだいて説明しますので、「そんなことは知ってるよ」という方はどんどん飛ばしてお読みください。言い換えれば、プラチナプリントがどれだけ大変か(笑)をわかっていただくためにも、写真がどのようなプロセスで画像として定着するのかをご理解いただいた方が、より深く納得していただけると思います。

写真制作に必要なもの

目にみえるものを画像として定着させる技法のひとつが「写真」です。「絵を描く」のも技法のひとつ、「ビデオを撮る」のも技法のひとつですが、僕は「写真」という技法を表現手段として選んだというわけです。そして写真の撮影・制作には、必要なものが3つあります。@カメラ、Aフィルム、B印画紙、そして各種の薬品です。(以後、カメラという場合はフィルムカメラをさします)

カメラ
カメラは……カメラです(笑)。カメラのあれこれについて説明しはじめると、とんでもないことになってしまうので、皆さんが想像している、それがカメラです。あえていえば、感光材(フィルム)に光を与える装置です。
フィルム
光にあたると変質する物質を支持体に塗布したものです。ほとんどの場合、この「光にあたると変質する物質」に「塩化銀」を使用しているため、デジタル手法を用いないカメラを「銀塩カメラ」、同じく「銀塩フィルム」「銀塩写真」と呼ぶわけです。いったん撮影したフィルムをまた光にあてると、さらに感光してしまうため、それ以上感光させない作業が必要になります。それが「現像」で、さまざまな薬品を使って、フィルムを現像、停止、定着させて、それ以上変質しないフィルムにするとともに、潜像を表し出すというわけです。
印画紙
フィルムと同じように感光材料を支持体に塗布したものです。ほとんどの場合、その支持体とは「紙」です。市販の印画紙は、おもに塩化銀という感光材を紙に塗布したものです。その感光材を均質に分布させて固定し、また紙に固着するためにゼラチンを用いるため、銀塩写真は英語で「ゼラチン・シルバー」と呼ばれるわけです(明太子を一粒ずつバラバラにして、マヨネーズに混ぜ、それをパンに塗るというイメージでしょうか〈笑〉)。そして、この感光材にプラチナを使用する技法が「プラチナプリント」というわけですが、詳しくは後で述べます。

ということで、以上を含めて、大ざっぱに写真のプロセスとはこういうことになります。

STEP01
目にみえるものがある(ポジティブな状態=正像・ポジ)。明るい部分は明るく、暗い部分は暗くみえる。それに向かってカメラをかまえ、シャッターを切る。
STEP02
カメラのレンズをとおして、光がフィルムにあたる。より強く光があたったフィルムの部分は感光して変色して黒くなり、光のあたらないフィルムの部分は元のまま(透明のまま)。それを現像して定着すると、明るくみえた部分は暗く(黒く)変色し、暗く見えた部分は透明なままで残っている。白が黒く、黒が白く(透明に)、フィルムには定着するわけです。このように反転した画像になるため「ネガフィルム(ネガティブな状態)」といわれるわけです。
STEP03
このフィルムに光を透過させて印画紙にあてると、フィルム上の暗い部分は少ない透過光になり、逆に白い部分は多くの光を透過させます。このため、フィルム上の黒い部分は印画紙上では白くなり、フィルム上の白い部分は印画紙上では黒くなる。これで、めでたく画像はポジティブ(正像)に戻り、目でみえたものが再現されます。

こんなことを、ざっと頭のなかに入れていただくと、これから説明する「プラチナ・プリント」がぐっとわかりやすくなると思います。